手のひらで感じる〜一般社団法人 古みんか倶楽部岐阜〜
2017年02月23日

一級建築士の田中です。
今週も茅葺き実習の続きです。
3種類の縄の縛り方を習うと共に行ったのは、刈った茅の下ごしらえ。
長いものを半分にし、使う部位的にはその半分にもします。
今回刈った材は大垣市杭瀬川の河川敷のものです。
何年も野放図にされていたものでしたから背は伸びでいるものの、一年で育ったものではないのでスーッとしていないものばかり。
節が多く、その節の間隔も細かい。そして節ごとで微妙に曲がっていたりします。
これは河原に生えている間に風雨に当たったりして余計な外力を与えられてしまっているため。
人生であれば紆余曲折いろいろな経験をし様々な外力を乗り越えてきた者は強くなるでしょう。
茅葺きとしては・・・そんな凝り固まった人生は葺き師には求められても材料には求められていない。
先生も、実習とはいえさぞかし葺きにくかったことでしょう。
そして葺き始めは軒先から。
最初は穂先を使います。
ぼさぼさの枯れた葉を適度に落として屋根に置いていきます。
軒先の茅は一番大切で大体4層くらい葺きます。
皆さんも茅葺屋根を思い浮かべる時、軒先の綺麗に揃った茅の姿がまず浮かんでくることでしょう。
あの綺麗に揃った状態も手のひらでトントンと叩き、揃えながら葺いていくのです。
背中越しで分かり難いですがトントンしているところが見えると思います。
先生は当日右手のみ手袋をしていたのですが、質問の中で話していたのは、本来は素手で行うことが多いとのこと。
なぜなら、やはり手のひらで茅の状態を感じながら行いたいからだと言ってみえました。
深い!深すぎる!!
そんな今年度の実習が終了いたしました。
この日は昼食を挟んで午後も行ったものの軒先の茅も十分に拭ききれなくて終了しました。
茅マイスターの称号を頂いても、実際に茅を葺くことなどできそうにない・・・
でも、これを機会に素晴らしい世界をのぞかせていただき、今後も続いていくこの活動に目が離せません。
皆さんの中でも、この記事を通して少しでも気になった方は、頭で考えるよりもまず触れていただくことをお勧めします。
その中で、ご自身の体で感じていただきたいなと思います。
関係する情報はまた発信していきたいと思います。
いかがでしたか?
本日は一級建築士 田中のお話をご紹介させて頂きました。
古みんか倶楽部岐阜では日替わりで古民家について専門家のお話を掲載致します。
毎週木曜日は一級建築士 田中のコーナーです。
明日は一級建築士 安田のお話をご紹介させて頂きます。
☆古みんかライター 事務局長 永嶺☆