接する部分、今昔。〜一般社団法人 古みんか倶楽部岐阜〜
2017年01月05日

あけましておめでとうございます。
一級建築士の田中です。
本年も、毎週木曜日のブログ更新をコツコツと勤めて参りますのでどうぞよろしくお願いいたします。
前回は基礎のつくりについて在来工法と伝統構法の違いに触れましたが、今回はその基礎と木造部分の接するところ土台についてです。
少し分かりにくいですが、これは在来工法でベタ基礎の立ち上がり部分のコンクリートを打設したところです。
コンクリートが硬化したら型枠を外し、あらかじめ埋め込まれたボルトに通気用の樹脂製パッキン等、土台の木材という順に敷き、上からナットで締め付けて基礎と土台を緊結させます。
一方伝統構法では、自然石の上に乗っているだけの状態です。
乗っているだけで大丈夫!?って思われるかもしれませんが、乗せる石(礎石)の形に合わせて木材を繊細に加工する「光付け(ヒカリツケ)」という技術を施しています。(全ての古民家がそのように施行されているとは限りません)一つ一つの石と材木が自然な曲面に合わせてピッタリ接するように加工されるので、家自体の重量が乗っかる事で多少の地震などの揺れによって石から外れて落ちることが無い、という仕組みです。
現在の住宅は柱や梁の仕口(接合部分)の加工なども機械で施されることが多いので、住宅が完成するまでの期間がとても短いですよね。あー、工事が始まったなぁと思うと4、5ヶ月でお家が出来上がってしまいます。
それにひきかえ、柱や土台に光付けを施すとするとそれだけで何ヶ月もかかってしまうかもしれません。
そんな所からも、如何に昔は丁寧にひとつの建物が建てられていたかを伺うことが出来ますね。
いかがでしたか?
本日は一級建築士 田中のお話をご紹介させて頂きました。
古みんか倶楽部岐阜では日替わりで古民家について専門家のお話を掲載致します。
毎週木曜日は一級建築士 田中のコーナーです。
明日は一級建築士 安田のお話をご紹介させて頂きます。
☆古みんかライター 事務局長 永嶺☆