べんがら 〜一般社団法人 古みんか倶楽部岐阜〜
2016年11月15日

岐阜県内でも西よりの地に居住しているため昔からよく滋賀県を訪れています。
車で走ってみると岐阜県内の関ヶ原までの集落と、県境を超えた米原市の集落とは街の色合いががらりと変わってくることに気が付きます。
滋賀県側に行ってみると木造建築の
外部に暗赤褐色のべんがらが塗られている在来木造住宅等が多く建っています。
それによって愛知・岐阜では見られない雰囲気の街並みを形成しています、しかも、滋賀県内でも湖北地方独特のものらしいです。
随分昔になるのですが滋賀の業者の方に滋賀県に行くと外部に何を塗っているのですかと聞いたぐらい珍しく感じたものでした。べんがらは酸化鉄を主成分とした赤色顔料で江戸時代にインドのベンガル地方から輸入したことからそう呼ばれる様になったそう
です。
古民家の外観を見てみると真壁造りの柱、梁、桁という主要な構造部にべんがらが塗られ、そして母屋と垂木に塗られています。
また屋根の破風板も殆んどが塗られています。塗ることによって撥水効果が表れ防腐・防虫の効果を高めているようです。
そして多くの古民家の外壁は白漆喰と黒く塗った焼き杉の羽目板で造られている場合が多く、屋根は日本瓦で葺かれています。
白と黒、そしてそこに暗褐色が加わった色の配色で統一された街並みは美しいものです。
べんがらは機能性だけではなく外観の色合いのアクセントになっており美観上使用されていることもよくわかります。
しかし、最近湖北地方を訪れてみてもべんがら色があせた住宅が多く、以前のように新築でべんがら塗りの在来木造住宅が少なくなっているようで、かつての様にべんがら色の強い印象が薄らいでいるようにみえます。
いかがでしたか?
本日は一級建築士 鈴木のお話をご紹介させて頂きました。
古みんか倶楽部岐阜では日替わりで古民家について専門家のお話を掲載致します。
毎週火曜日は一級建築士 鈴木のコーナーです。
明日は棟梁 西川のお話をご紹介させて頂きます。
☆古みんかライター 事務局長 永嶺☆